ドイツのおもちゃがいいわけ
目次
1.はじめに
2.ドイツ玩具の歴史
3.おもちゃ作りの発展
4.シュタイナー教育とおもちゃとの関係
5.ドイツ職人のプライド
6.まとめ
1.はじめに
なぜドイツのおもちゃがいいか。そのきっかけは、まごが生まれ使っていたおもちゃからでした。
特に、ロンデーロという3ヶ月から使えるおもちゃを使って遊んでいました。
【ロンデーロ】
このおもちゃのいいのは、触る、なめる、音を聞く、見るなど、赤ちゃんのあらゆる感覚を刺激してくれるからです。
幼少期は口に持っていくことが多いため、塗料も安産第一に食品衛生上無害なものしか使っていません。
それもそのはずドイツでは良質な玩具の条件が厳格で、優良おもちゃだけに認証マーク:シュピールグート(spiel gut)を発行している。
【ドイツ優良玩具審議会推薦マーク】
・審査基準
・対象年齢が子どもの年齢や発達段階に見合っているか
・子どもの創造力を育むものか
・子どもが遊びを工夫できたり、遊びのバリエーションが豊富か
・素材や加工は安全か
・創造力を邪魔しないデザインか
・子どもが理解できる構造か
・すぐに壊れない耐久性があるか
・環境に優しい素材を使用しているか
ドイツ優良玩具審議会
2.ドイツ玩具の歴史
それは、ドイツ東部のエルツ地方から始まったのです。その歴史は12世紀までさかのぼらなければなりません。
そのころ、この地方に銀鉱山が発見され、一気に入植者が増え、開墾されていきました。
「Gluckauf(グリュック・アウフ)」はこのころの挨拶で「無事に上がってこい」という意味です。
なお、鉱山者は3交代なので、夜道は点在する家の窓明かりを頼りに通うことになります。
その窓明かりにともした、燭台やクリスマス時の飾りが木工品へと生かされていったのです。
つまり、1千年近くの歴史の中で、木工玩具は育まれていったのです。
特に、鉱山労働者は肉体を酷使するため体力が落ちたり、ケガなどで働けなくなった人たちの片手間仕事から始まっていったのです。
やがて、交易路が発達し、おもちゃはヨーロッパ中に広まっていったのです。
3.おもちゃ作りの発展
この地方は、18世紀の半ばに錫鉱山の衰退に伴い、おもちゃ作りに本腰を入れるようになりました。
やがて購買層は、王侯貴族から市民層へと広がり、ドールハウスやミニチュア模型が主流となり、ドイツから世界へと広がっていたのです。
現在、ザイフェンを中心としたエルツ山地で作られた木工玩具は、専門学校で卓越した工人を排出している。
なかでも、クリスティアン・ヴェルナー氏は父から引き継いだ技法を、息子たちにも継がせ、妥協のないすばらしい仕事をしている。
【Guenter Reichel(ギュンター・ラヒェル)】
たとえば、このGuenter Reichel(ギュンター・ラヒェル)は、超人気玩具商品で常に売り切れ状態です。
4.シュタイナーとおもちゃ
ドイツで生まれたシュタイナー教育の基本は「自由への教育」と呼ばれ、自分で考え、判断し、行動できる人間になることを目標にしています。
特に幼児期に意志の力、感覚を育て、身体の十分で健やかな発達を促す教育を行い、子どもが「本物」に触れることを大切にしています。
幼児期は「本物」に触れるために、おもちゃも重要な役割を担っています。そのために、できるだけ単純なおもちゃがよいとされています。
なので、精巧に作った人形よりも、簡単な目や口がついているだけの人形のほうがイマジネーションを広げるのです。
最初に紹介したロンデーロのおもちゃは、きわめて単純ですが、手に取り、口に含んだり、振って音を確かめたりします。
実際、うちの孫は、口や耳でまずそのものが何かを口にやったり、手に取っり、振ったりして音を確かめていました。
ドイツのおもちゃがいいのは、きわめて単純な木製のおもちゃが多いことです。しかも色を塗っただけのものです。
しかも、ドイツの黒い森で育った堅いブナ材を使っていますので、他の製品より値段は高く、しかも「本物」思考です。
5.ドイツ職人のプライド
精巧な技を誇るマイスターの国として知られるドイツ。もともと生活用品をつくっていた職人たちが、その技を活かして始めたのがおもちゃ作りでした。
クマのぬいぐるみで有名なテディベアもドイツから送り出した世界初のぬいぐるみです。
良いものを長く使うというドイツ古来の考え方があります。木のぬくもりとともに職人の心遣いが感じられます。
戦後、特にアメリカのブリキ玩具が氾濫します。それを危惧したドイツ職人は、「子供の遊びと玩具」という専門審議会を立ち上げます。
シュタイナー教育の考えを基本とした「本物」思考の、楽しさと耐久性を併せ持ったシンプルなおもちゃが評価されました。
それは、長い歴史の中で培ったマイスターとしての誇りと「子どもの笑顔」を求めてやまない気質がありました。
6.まとめ
ドイツのおもちゃがいいわけについて考えてきました。まごが生まれてもうすぐ1年です。
それがきっかけで、このおもちゃはどこのものだろうと常々思っていました。
やはり幼児には、良質なおもちゃを与えることで、五感の発達を促すようです。特に生後5か月ごろからは、音のなるほうに顔を向けるようになります。
目よりも耳から確認しているように思われます。
先のロンデーロというおもちゃは、コトコトコトと小さな音ですが、木の玉どうしがぶつかって出るここち良い音に顔お向けていました。
ドイツのおもちゃは、職人の長い歴史に裏打ちされて、良質なおもちゃが多く、見て触って、飾ってもどこかほほえましさを感じます。
「子どもの笑った顔を見たいだけ」のために作っているという、古老のマイスターたちの言葉がすべてを物語っているように思われます。